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サッカーミュージアムの素 [M@ミュージアムマネージャー]

元日に新聞で、熊地洋二様の名前を見つけた。

噂には聞いていたが、バスケット協会で仕事をされるようだ。
熊地様はJAWOC(2002FIFAワールドカップ日本組織委員会)の企画調整局長で、
私の直接の上司だった方だ。
その後はJリーグの常務理事になられたが、引退された。
まずは奥様と世界中を旅行して、いい季節には田舎の土地を耕して楽しむとおっしゃっていた。
が…。

天皇杯の後、本屋によって平積みの文庫を見ていた。
数年前に出た本で、けっこうヤバイヨと知人に言われた本を手に取った。
林真理子の「アッコちゃんの時代」という小説みたいな本だ。
ペラペラめくって、ちょっと気になったので買ってみた。

私がサッカーを本格的に仕事とする前の時代の話だ。
バブルといわれる時代だ。
実は、文中で匿名の「早川さん」も「五十嵐さん」も、
かつての仕事の関係で私は存知ている。

「早川さん」は直接というわけではなく
私が舞台監督をしていた日活の大スター「K.A.」のスポンサーがM興産だった。
M興産がホテルやゴルフ場を買収すると、オープニングパティが催され
そこにKや他のタレントがよばれると仕事をするわけだ。
しかしパーティの演出など、
本人も周辺の人も決してなにかとやかく言うようなことはなく、
Kの事務所の社長から「お前、うまくやっとけ」といわれて
かえって困ったぐらいだ。
札幌の競馬場に隣接するホテルを買収して、
オープニングパーティを開いたときには、
ここの最上階のレストランで自分の馬が走るのを見たかったという話だった。

「早川さん」は、もうなくなられたらしい。

「五十嵐さん」はプロデューサーだったので、直接仕事の指示を受けた。
私が所属していた舞台製作会社の社長が、学校の同級生でとても親しい。
私は、今はもう消えてしまったデベロッパーSグループの豪奢なホテルオープンや
アメリカンオールディズの大歌手のディナーショーなど派手な現場を、
かなりやらせてもらった。

「五十嵐さん」のプロデューサーとして求心力はやはり相当なものだった。

著名な写真家の写真集がぎっしりとつまった本棚と
毛足の長い絨毯が敷き詰められ高級な家具がおいてある事務所で、
すこし高いハスキーな声で打ち合わせする、
というよりも、一人でしゃべり続ける様は、
それはそれで人を納得させる力があった。

現場ではタレントは誰でも言うことを聞いたし、
東京、大阪で期間を限定した大規模なテーマレストランをプロデュースした時は
さすがだなあと思った。
芸能プロなどの事務所をデザインコーディネートして、
イタリアの輸入家具を輸入してリースレンタルするという
仕事も、ビジネスとして上手だなあと感心した。

話し方やしぐさは林真理子の文中にでてくるまんまだ。
いろいろ問題があって、塀の中に入っていたりで、このところは噂を聞くことがなかったが、
テレビドラマで「キャンティ」が取り上げられ、昨年には「団塊パンチ」で特集され、
とうとう活動を再開されたようだ。

昨年あるパーティに呼ばれて行ったところ、
談笑される「五十嵐さん」をお見かけした。
新しいアーティトを発掘されたそうで、パーティの会場でそのアーティストの曲が流れていた。

もう自分とは違う世界のような気がした。
でもせっかく呼ばれたので、シャンパンを数杯いただいて、退散した。

肝心の「アッコさん」も「五十嵐さん」と、お見かけしたことがあるけれど、
それももう、ふるいふるい話になってしまう。

本を読んで、
古いアルバムを開いたような妙な気持ちになった。

あの頃、あの時間の中にいてバブルがはじけた時、
皆、いろんな面で傷ついた。
でも今では、気持ちの中で傷ついたなんて思っていないんじゃないだろうか。
そういう時代だったとアルバムを閉じるように、
本棚に仕舞ってしまう。

もう、今、現場は、私の後の世代ではなく、さらにその後の世代になっている。

それにしても熊地様・・・・。


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